特許権を考える

知財高裁の言語明瞭 意味不明瞭

クレジットカードとプリペイドカードとFinTechに関連する発明で2020年8月26日、知財高裁に於いて摩訶不思議な判決が言い渡された。
その判決文は、言語として明瞭なのだがその意味を汲み取ろうとすると全く意味不明瞭な文言であり、事実認定を受け入れようと何度も試みて読んでみたが、「言語明瞭意味不明瞭」で「判決文が、自ら判決文中に記載している判決内容を否定する」と言う、実に奇妙な判決内容となっていて大いに笑ってしまった。


発明人である筆者が発明した「ホワイトカード」特許を、とある大手企業が特許侵害していると思われたので、その是非を法廷で争う事となったのだ。(判決の全文は知財高裁にて令和2(ネ)10023で検索可能なのでそちらを参照して頂きたい)

2009年に生み出したホワイトカード発明を簡単に解説すると、従来のクレジットカードシステムに於いて、与信を得るのに何らかの不都合な理由や諸問題があって、決済可能なクレジットカードを保有する事できないなどの人の為の救済が発明の原点であり、

ひと度与信を逸失した者は、例えば他者(自者であっても良い)からの送金などによって現金を手にした後も、その与信情報が改善されず、クレジットカード発行会社(又は信販会社)に連絡をとったりして、所持金が増えた事(安定して所持金が増える状況のみを指している訳ではなく一時的な所持金増加を含む)を証明したりなど煩雑な手続きを取らなければ与信を増加又は復活させる事ができないと言う課題があった。

この課題を解決する為、この発明は受金用IDにて入金を受付けた旨の情報を取得し、その情報を用いて使用限度額を直ちに引き上げる仕組みであり、決済時は決済IDを用いて決済すると言う従来のクレジットカードでは無し得なかった、全く新しい決済カードであるホワイトカードの発明(請求項において、クレジットカード改良発明などの様な限定を付していない)である
 
さて令和2(ネ)10023のこの判決文のどこが「言語明瞭・意味不明瞭」なのかを記す前に、これから以下の各種カードの事を事前に説明しておきたい。
判決内容を読み解く上でこれから記述する内容が理解できているかどうかがとても重要な事であるからだ。
問、次の5種類のカードの違いを貴方は説明できますか?
答・上段3つは全てクレジットカードであり、下段中央はキャッシュカードであり且つJ-デビットカード、下段右はプリペイドカード
上段の3つのカードがクレジットカードである理由
1.加盟店規約でそのように定められている。
世界的なクレジットCARDのマスターブランドであるVISACardやMasterCardやJCBCardなどの各企業により、加盟店規約において上段に示されるカードは、カードの名称に関わらず信用販売を供する時に用いるカードであり即ちクレジットカードであると定められている

2.上段いずれのカードも、取引決済時に於いてオーソリ問合せ装置と呼ばれる装置を用いてクレジットカード番号(PAN)をカード発行会社に通知し、当該取引承認番号を取得する必要があり、取引承認番号がえられなければ、何れのカードも取引に用いる事ができない。

3.各加盟店は取引承認番号取得によってその取引を行った場合、購入者に対してその代金を一旦掛売とし、後日クレジットカード会社からその代金を受取るので与信販売である事は自明。

専門家でもよくあるカード誤認

このカードはブランド型クレジットカードと呼ばれており、文字通りクレジットカードとして認識されている。
世界に代表されるクレジットCARDマスターブランド企業であるVISACardやMasterCardやJCBCardにより、商品や役務取引時の売買代金決済の仕組みとして最も歴史があり、世界中で広く使用されている決済の仕組みである。

商品の販売店や役務の提供店は、Cardブランド会社の加盟店となり、そのCardブランド会社の加盟店規約に基づいて決済を行う必要があり、商品の売買時にはクレジットカードに記載されるPANと呼ばれるクレジットカード番号をオーソリ端末とよばれる装置を用いてカード発行会社に明示し、信用販売が可能か否かを照会する必要がある。

カード発行会社によりその商品の売買が承認されると、その信用取に対して固有の取引承認番号が加盟店に通知され、加盟店はその取引承認番号を得て初めて売買取引が許される。

その取引の決済代金は後日カード発行会社の加盟店規約などに基づいて、カード発行会社から販売店に入金される。(一般的には取引月で締めて翌月の末日までに入金となるのが一般的である。)

ここで重要な事は、当該取引時に消費者が現在現金を有するか否かは問われず、取引毎、クレジットカード発行会社から加盟店に対して、その都度々「加盟店と消費者との取引に干渉し与信判定を行い」その結果として信用販売にたいする取引承認番号以て取引が許可された時にのみ、その取引が許されると言う点にある。

即ち消費者がカード発行会社が指定するクレジットカードを有しているからと言って、加盟店において常に全取引が許さる訳では無く、取引一回一回に対して与信を付与するかどうかを判断して取引の可否が決定されているのである。

またクレジットは会社は、カード利用者に対して予め与信枠という「ひと月以内で購入が可能となる一定の取引許容可能範囲額を提示している」が、その与信枠の金額はクレジットカード会社の運用ルールに於いて定められるものであり、10万円の場合もあれば、100万円の場合もあり、与信枠が0円の場合もある(与信枠0円のクレジットカードに関しては後述する)。

従って極端な例を示すと、与信枠100万円のクレジットカードを有する消費者が、普段全くそのカードを使用しておらず使用の履歴が存在しない場合、例え110円の飲み物を購入するシーンであったとしても、普段のカード利用履歴が見当たらないので、場合によってはオーソリによる承認番号が得られない時もあり、それによって取引が否認されれば例え110円の飲み物であっても販売できない事になる。

この様な運用を前提にした規約があり且つ適用されてカード決済が行われているので、カード盗難などによる第三者の不正カード決済を未然に防止できるようにもなっている。

この様にクレジットカード取引は歴史的にも運用ルール上も加盟店規約上も、与信は取引一回毎に「与えるか否か」の判定を行う事となっているのである。

クレジットカード会社に承認され取引された売上金額は売掛金となり、クレジットカード会社の運用ポリシーにより取引された日を起算日として概ね3日~60日後に販売した加盟店に入金される。
このカードはブランド型デビットカードと呼ばれており、その呼称からしばしばJ-デビットカードと誤認される
ブランド型デビットカードと呼ばれるクレジットカードで、クレジットカード番号(PAN)を有し、与信枠と呼ばれるひと月以内の使用限度額目安はゼロ円となっていて、取引決済時手において、カード発行会社とカード利用者との間で予め取り決めておいた利用者名義の銀行口座の残高を参酌するタイプのクレジットカードである。

与信審査として、カード発行時に銀行の口座を開設できる与信を有する人物でなければならず、その他犯収法に基づく本人確認、商取引の法的な責任を有する人物であるかなどにおいて厳密な審査がある。

当該カードも加盟店において買い物をする都度、クレジットカード会社にオーソリ装置を用いてクレジットカード番号(PAN)を通知し取引の承認を得る必要があり、クレジットカード会社は指定された本人名義の銀行口座の残高を確認し、取引予定の金額が他の目的で使用できないよう保全した上で取引承認番号を発行し、加盟店が商品取引を実行すると同時に保全していた金額を名義人の銀行口座からクレジットカード会社へ振替処理を行うよう銀行に依頼し、銀行はその通り為替取引を実行する。

ここで重要な点であるが、銀行口座に例え1億円の預金残高があったからと言って、預金額と取引承認限度額は決して等しいわけでは無い。

前述したように与信付与は一回ごとの取り引きに於いてクレジットカード会社が自らのルールに基づいて加盟店に承認するものであるから、カード利用者の指定口座残高が例え1億円の残高があったとしても、必ずしも1億円の取引に対して取引承認番号が得られるものではないのだ。

実際に500万円以上の預金残高を有する友人の強力を得て、ブランド型デビットカードでその加盟店に於いて300万円の売買取引をお願いしてみた結果、取引承認番号は得られず売買は否決された。

友人のブランド型プリペイドカードに於いては預金残高が例え取引希望金額を上回った残高があっても、取引承認番号がえられる金額は200万円以下である事が判った。

クレジットカード会社に承認されて取引された売上金額は売掛金となり、クレジットカード会社の運用ポリシーにより取引された日を起算日として概ね3日~60日後に販売した加盟店に入金される。
このカードはブランド型プリペイドカードと呼称されるクレジットカードで、その呼称からプリペイドカードであると誤認されている
ブランド型プリペイドカードと呼ばれるタイプのクレジットカードで、クレジットカード番号(PAN)を有し、与信枠と呼ばれるひと月以内の使用限度額目安はゼロ円となっていて、与信販売取引時に用いたい金額以上を予めクレジットカード発行会社に入金し、クレジットカード会社は、入金された金額を該当するクレジットカードのPAN番号に紐づけられた残高管理記憶部に記憶する事で、当該カードは信用販売取引時に決済カードして使用する事が可能となるクレジットカードである。(VISA・MASTE・JCBなどのマスターブランド加盟店においても与信販売を行うクレジットカードで有る事が明記されている)

クレジットカード会社の与信審査として、犯収に基づく本人確認を行い、クレジットカード発行会社の運用ポリシーに違反する行為が無いかどうか、或いは商取引行為の法的責任を有する人物であるかなどの与信審査がある。

当該カードも加盟店において買い物をする都度、クレジットカード会社にオーソリ装置を用いてクレジットカード番号(PAN)を通知し取引の承認を得る必要があり、クレジットカード会社は指定された本人名義のPANに紐づけられた記憶装置に記憶された入金額残高を確認し、取引予定の金額が他の目的で使用できないよう保全した上で取引承認番号を発行し、加盟店が商品取引を実行すると同時に保全していた金額をPANに紐づけられた入金額残高から差し引く。

ここで重要な点であるが、入金額残高に例え1000万円の残高があったからと言って、その残高と取引承認限度額は決して等しいわけでは無い。

前述したように与信付与は一回ごとの取り引きに於いてクレジットカード会社が自らのルールに基づいて加盟店に承認するものであるから、カード利用者のPANに紐づけられた入金額残高が例え1000万円あったとしても、必ずしも1000万円の取引に対して取引承認番号が得られるものではないのだ。

実際にLINEPay社が発行する【LINEPAYプリペイドカード(JCBブランド)】と呼称するクレジットカードは、1000万円まで入金残高を積み増す事ができる。

友人の強力を得てLINEPayカードに100万円を超えるまで入金残高積み増し、100万円超過する残高状態で、JCBブランドの加盟店に於いて100万1千円の売買取引をお願いしてみた結果、取引承認番号は得られず売買は不成立であった。

即ち、入金額残高と決済可能残高は等しくない事は自明である。

クレジットカード会社に承認されて取引された売上金額は売掛金となり、クレジットカード会社の運用ポリシーにより取引された日を起算日として3日~60日程度で販売した加盟店に入金される。その間信用販売取引を行っている事は自明である。
このカードは一般的に銀行のキャッシュカードと呼ばれていて、その呼称から入出金にしか使えないものと誤認されがちである。
 銀行のキャッシュカードとして慣れ親しんでおり、通常はATM装置で入金や出金或いは送金を行うカードであるが、その認識が浸透し過ぎていて、このカードがJ-Debitカードとして使用する事は必ずしも認知されていない。与信付与と言う概念は存在せず、決済に関し当該キャッシュカードの銀行口座の残高と紐づけて判断される。

 J-Debit加盟店において決済取引を行う時、加盟店から通信決済情報処理センターなどを経由し当該カードを管理する銀行へ銀行口座番号を通知し決済の可否の承認を受ける。
決済の金額が口座の残高以内であるなばら原則として決済可能となり、その代金は直ちに利用者の銀行口座残高より減算される。
(銀行によっては1回辺りの取引上限金額を設けたり、一日あたりの取引合計金額上限を設けたりしている場合もある)

 利用者の銀行口座より減算された決済代金は、直ちに購入した加盟店の銀行口座を仕向け先として為替送金手続きが自動的に行われる。但し即座に加盟店の口座に着金する事が保証されているわけでは無いが、クレジットカード決済と比較して加盟店にその売買代金が入金されるまでの期間は大幅に短い。

 又、クレジットカードと異なりクレジットカード番号(PAN)を用いる事はなく、クレジットカード会社にオーソリリクエストする事が無い故に、クレジットカード会社から取引承認番号(即ち信用取引承認)を得る事もない。
プリペイドカードと呼ばれ、前払い式証票を事前購入する事によって役務や商品を購入を事前に確定し、役務又は商品受取の時期や受取人を購入者の都合によって決定できる決済。
プリペイドカードと呼称さるカードで古くは前払い式商標と呼ばれた。デパートの商品券やお米券、ビール券など紙に印刷された券などが、プリペイドカード発祥の由来である。

その後、一世を風靡したプリペイドカードとしてテレフォンカードが有り、現在ではAmazonギフトカードやiTunesカード(アップル)カードなどにその名残を目にする事ができる。

本来プリペイドカードは旧呼称である「前払い式商標」が示す通り、購入を決定して前もってその代金を支払っておき、購入した商品と引き換える【引換商標】として用いた性質の引き換え券をいう。
例えばお米を購入する事を決定し、お米屋さんに予めその代金を支払い引き取りの為の商標を発行してもらい、後日そのお米を引き取りに行く時には予め発行して貰っていた商標と引き換えにお米を受領すると言う仕組みである。

ここでポイントとなるのは、商標を発行するお米屋さんからみて「与信」と言う概念は存在せず、先に利用者からお米代金を貰っているので引き換えの為の証票を持参すれば、その証票を持参した人にお米を渡すと言う仕組みである。即ち証票持参人が必ずしも証票購入ではない所がポイントとなる。

一世を風靡したテレフォンカードも同なじ仕組みであり、利用者から電電公社(現NTT)が電話代金を前払いで受領し、テレフォンカード(前払い式証票)によって前払い済みの電話代金をNTT側に通知する事により、その代金い見合った通話を行う事が可能となる。勿論通話するものがテレフォンカード購入者である必要は無く、テレフォンカード持参人であれば電話の利用は可能である。

ここで繰り返し重要な点を記載するが、役務提供者(商品提供者)は、利用者から予め代金を受け取っている点が非常に重要点なのである。
先に商品代金を受け取っているのであるから、この決済手段にはそもそも掛売などは存在せず信用販売を行っていないのである。

現在類似するカードとしてJR東日本が発行するSuicaがある。JRは事前に電車賃として代金を受け取り、利用者はJRにて電車にのる事を確定している。実際に電車に乗車する時にその証票としてSuicaを用いるのである。ちなみに筆者が事前に支払って入手したSuicaを第三者に供した場合、そのSuicaの持参人である第三者は何ら支障なく電車に乗車する事ができる。
※(但しSuicaが無記名式の時に限られる。記名式の場合当該証票【Suica】を利用できるのは記名した本人のみである。)

このプリペイドカードは事前に証票を購入して利用する性質上、しばしばクレジットカード会社が発行するブランド型プリペイドカード混同されるが、両社は似て非なるものである。

クレジットカードと異なりクレジットカード番号(PAN)を用いる事はなく、クレジットカード会社にオーソリリクエストする事が無い故に、クレジットカード会社から取引承認番号(即ち信用取引承認)を得る事もない。
種類プリペイドカードブランド型プリペイドカード
必須要件PAN番号不要・取引承認不要・証票引換者へ商品提供PAN番号必須・入金残高の金額にかかわらずクレジットカード会社の取引承認番号取得が必須。
取引形態前払式応分引換取引信用取引
保証範囲証票に記されている前払金全額分の商品引換が保証されている。信用販売であるのでカードの入金残高と取引承認金額は同額では無い
代金回収時期利用者から予め回収済み利用者へは掛売りであり、回収は後日クレジットカード会社が指定する日にクレジットカード会社より受領する。
現金事前支払いの意味商品(役務提供)販売事業者から前払い式証票を購入する行為(バリューの購入)当該カードを発行したクレジット会社への事前入金であり、この時点では何ら購入していない。
券種分類プリペイドカードクレジットカード

EdyやSuicaを皮切りに、チャージと言う言葉が日常に使われるようになったが、旧・前払い式証票に関する法律(現・資金決済法)の定めに沿う為、本来チャージとはプリペイドカード利用において「前払い式証票を購入する」行為を指す。

SONYが主導するビットワレット社にEdyが属していた黎明期時代、「バリュー」と言う言葉を創り上げ、バリューと言う言葉を前払い式証票と同義であると定義した。

それによりバリューを購入する行為は前払い式証票を購入する行為を指し、繰り返しチャージする行為をリチャージと呼び、法的な意味合いとして「前払い式証票を追加購入する行為」として位置付けたのである。
その様な仕組みを可能としたEdyを「法定通貨」に対比させて「電子マネー」と呼称した。

当時、Edyが利用できる店舗にはそれぞれチャージ機が設置されており、設置したチャージ機でバリューを購入する事で前払を行い、前払いしたバリューと引き換えに役務の提供を受ける事ができた(ビックエコーなどが当時の代表的な加盟店である)。チャージの残高は直接Edyカードのフェリカチップに記録する形式を採用していた。

黎明期当時はハウスカードとしての利用が前提であり、A社でチャージしたEdyをB社で利用する事は物理的にも法的にもハードルが高くて実現できず不便さが際立った。

その後紆余曲折あり、バリュー購入金額とバリュー消費金額をEdyカード本体のフェリカチップのみで管理していたハウスカード方式から、センターサーバ管理形式に変更され、A社で発行しA社でチャージしたEdyを、B社でも決済利用できるようになって利便性は飛躍的に良くなった。

 一方で前払い式証票に関する法律が、そのように変化したセンターサーバ管理型前払い式証票の性質をカバーできなくなり、プリペイドカード法が新たに定められ、更には資金決済法に関する法律に統合される形で法律が変化していったが、プリペイドカードが前払式証票を購入する事とする原点的な法的行為は些かも変化せず現在に至った。

 その為、国は資金決済法に基づき前払い式証票に属するカードに於いて、利用者が前払いによって前払い式証票を購入した金額保全する為、バリュー販売企業又は残高管理企業又はカード発行企業に対して、一律「前払式商標購入額の50%」を供託する様に義務付けた。

更にその後、クレジットカード会社が発行する新たプリペイド式クレジットカード(現クレジットカード会社が発行するプリペイドカード)が出現する事となったが、EdyやSuicaと根本的な思想が異なり、証票を購入する思想を持っておらず、クレジットカード会社に事前入金する方式を根本的な思想としており「前払い式証票を購入する行為は存在しない」ものとなったので、
クレジットカード会社では資金決済法との乖離を避ける為、カードの呼称と切り離した上で、「クレジットカード会社が発行するプリペイドカード」を加盟規約においてクレジットカードである旨を明確に定めた。

その為、「クレジットカード会社が発行するプリペイドカード」において供託に関する定義が曖昧なものとなり、法律上、形式的には50%の供託が必要とされるものとしつつも、当該カードの利用目的が社内経費精算専用の為に用いられる場合は「供託不要」や「資金動業者の登録不要」など、利用者の権利を守る法律制定の意味合が判り辛くなった。

言語明瞭意味不明瞭

 さて今回の知財高裁の判決によると、「被告サービスは、電子マネーを用いたモバイル送金・決済サービスであって、送金・入金及び振替入金の各機能に用いる被告カードは電子マネーに掛かるプリペイドカードであり、被告アカウントにおいて決済などに使用できる金額は、常に当該アカウントの残高と一致する(省略)と認める事ができる」と述べている。

更に判決文は「被告カードは、クレジットカードではないからホワイトカードに当たらない。また、被告カードが決済等に使用できる金額は、常に当該アカウントの残高と一致するから、これが契約時に設定されてある程度固定される、所定期間内で使用可能な金額であるとはいうことはできず【使用限度額】の構成を有するとも認められない。」と述べている。

簡単に説明すると、筆者の発明したホワイトカードはクレジットカードの改良発明であると判示した上で、被告カードはプリペイドカードだからクレジットカードでは無く、使用限度額が存在するカードでは無いと述べている事になる。

 しかし被告カードはJCBブランドが付されていて、且つクレジットカード番号(PAN)を有するカードであり、決済時にはオーソリ装置を用いて取引承認番号を取得する必要がある。
そして前述の通りクレジットカードマスターブランド各企業(JCBを含む)の「加盟店規約」によると、当該プリペイドカードは信用販売の時に用いるカードでありクレジットカードであると定められているので、当該判決がいう、「プリカだから・・・クレカではない」と言う判決はあきらかに誤りであることになる。

 また、被告カードは入金によりそのアカウントに1000万円まで入金残高を積み増す事ができるのだが、判決に従うと被告カードは入金額と同額の1000万円まで決済が可能であると言う事実認定となる。

 筆者が実際に試した所、事実上一回ごとの決済として1000万円の取引で承認番号を得る事はできず、100万円を上回る事はすらできなかった。
従って当該判決が述べるような「アカウントの残高と決済などに使用できる金額が同じである」と言う事実は存在しなかった。

 とは言え、この様に「知財高裁の事実認定が誤っていても」現状最高裁判所ではその事実認定を是正させる訴えを起こす手続が存在しない

実は今回の判決が奇妙な点はこの点だけではないのである。
むしろこれから後述する点が「言語明瞭意味不明瞭」とされる正に核心部分となる。
「ある物体を摂氏-273.15℃の冷たさであると断言し、同時に同一の物体を摂氏10,000度の熱い物体で有ると断言する」その様な事例に匹敵する今回の判決文の奇妙さを「言語明瞭・意味不明瞭」と言わずして他になんというべきだろう。

今回知財係争において一審の判決文で、筆者のホワイトカード発明は「発明の課題から見てクレジットカードの改良発明である」と断定したので、筆者は知財高裁においてこの点を以下の様に正した。

「例えば法的に破産手続きを行ったものは、そもそも与信が相当年数付与される事はない。その様な者が当該ホワイトカード発明を用いて他者からの送金などによって入金を受付けた旨の情報を用いて、使用限度額を直ちに引き上げた場合、与信はゼロのまま使用限度額が引きあがるので、クレジットカードと言う事はできない」と主張したのであるが、

これに対し判示された内容は、「例え信販会社が、入金を受付けた旨の情報を持って使用限度額を引き上げたとしても、その入金受付けた金額に見合って引き上げた使用限度額は、信販会社から与信が与えられたと解釈しもよく、この点からホワイトカードはクレジットカードである」と改めて判示した。

さて、この判示に従うと実に不思議な事が生じる。
一例として、破産などによって信用取引上が認められず元々の与信枠がゼロのカードであっても、送金などを受金した入金情報をもって使用限度額が引きあがるカードはクレジットカードであると断定した事になる。判り易く解説するとプリペイドカードに見られる予め与信枠が存在しないカードにおいて、送金などにより入金を受付けて使用限度額を引き上げるカードもクレジットカードであると述べている

しかし同時に判決文では、「被告のカードはプリペイドカードなので予め与信枠が存在せず、送金などにより入金を受付けた旨の情報をもって使用限度額が随時決定されるカードなのでクレジットカードでは無い」と断じている。

これを持って全判決文を読むと、被告のカードはクレジットカードは無く、同時に被告のカードはクレジットカードであると述べていることになる。

判決文は言語こそ日本語で記されているから言語明瞭ではあるが、一体どんなカードなのか全くもって意味不明瞭なものとなり正体不明のカードである。

また、今回被告が著者の特許を侵害しない理由は一審の判決文に於いて「被告のカードはクレジットカードでは無いからホワイトカード特許を侵害しない」の1点のみであるので、被告カードがクレジットカードである事を二審で認めた以上、特許侵害しない判決理由が消失してしまう事になる。

判決理由の不備

この様に判決理由を受け入れようとした時に、判決文そのものに「自らが判示した判決」を、更に自らの判決文が否定する事由が記載されていていると言う極めてまれで大変に珍しい判決文が今回公示された事になる。

そのような判決文を「判決理由の不備」又は「判決理由の齟齬」と言い、上告の正当な理由となる。

求められる裁判所のモラル

私たち個人発明人は発明を擁護して貰う為に特許出願を行い、多額の費用と時間とを費やし苦労の末に特許査定を得る。

しかし乍、今回の裁判にみられるように結論ありきと思しき矛盾だらけの判決文をみると、この国に於いて知財裁判が果たして公正公平に行われているのか甚だ懐疑的になる。

本来発明は特許法70条によって、発明の権利範囲は請求項で判断されるべきとなっており、請求項で判断がつかない場合にのみ明細項を参酌して発明の権利範囲を決定する事が許されるとある。

今回の判決は、当該発明の権利範囲を明細項の段落2に記載される「発明が生み出される以前に存在したクレジットカードの課題」を持って発明の権利範囲をクレジットカード限定されると判示している。

例えると、ガソリンエンジン車が燃費効率が悪くCO2の排出により地球環境に悪影響を与える課題を掲示していて、電気エンジン車の発明をなした場合、貴方の発明は課題をガソリンエンジン車に見出したから、ガソリンと電気のハイブリット車のみに適用される発明であると発明の権利を限定し、EV車は貴方の発明を侵害しないと言う事を暗に判示しているのである。

この様な事が一度許されてしまうと、特許査定を受けた発明であっても後日裁判所によって幾らでも発明の権利範囲を減縮させる事が可能である事になる。

最早、発明人にとって特許出願を行う事に意味があるのかどうかすら疑わしくなる。

本来特許査定により取得した発明の権利は発明人にとって大きな財産権である。

その財産を判決文の主文一行で奪う事ができる司法は、その権限を行使するに当たっては十分に吟味し、
発明の詳細な内容が理解できない時は、先ずもって直接発明人に尋ねるべきであり、合わせて専門家に対するヒアリングを初め、実証による見聞を行うなど十分な検証を行うべきである。

今回の判決文の奇妙さは被告のカードは入金して使用するカードだからナナコカードやSuicaと同様のプリペイドカードであろう」と言う思い込みが判事や調査官の思考にあり、

 著者が前述したように、決済カードに対して細かな分類や識別、各々の決済カードが存在するの歴史的な事由や、決済カード発行の可否を決定するカードブランド企業などが示す規約上のルールや他の法律が決済カードに示す事由などを全て勘案し連結して判決を導きだすべきべきで有る所、裁判官や調査官の思い込みによって生じたのでは無いかと言う疑念を払しょくできない。

上告審は最後の砦

上告審は私たちの権利が正しく守られる事を判示する最後の砦である。

私たち個人発明家にとってもそれは同じ切なる思いなのであるが、上告した内容が実際に法廷で取扱われて新たに吟味される事は極めて希な事なのである。

殆どの上告内容に対して3行ばかりの3行文の紙切れ一枚で門前払いとなる例が殆どある。

勿論、本当に上告する理由が見当たらない場合も存在するのであるが、今回の様に判決文が判決文中に於いて自らの判示内容を否定するような内容となっている事が明らかな場合、少なくともその矛盾する事柄を埋める為に上告審は何等かの判断を示す必要がある。

又、判示する権限を有する権能を与えられた人々は判示する時、素直に日本語の文体や文脈が有する本質に目を向け、私たち国民に判示される内容が「屁理屈」と疑われない為にも、真摯に且つ正々堂々と判示して欲しいものである。

この判決は知財判決史上稀にみる言語明瞭意味不明瞭な判決として記録され語り継がれる判決となる筈である。

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